複利とは金利の計算方法の一種ですが、その計算方法や考え方は少し複雑で分かりにくいですよね。
複利の他に単利という計算方法が広く知られておりますが、複利は、単利と比較すると非常に理解しやすいです。
この記事では、単利との比較を用いながら、複利とは何か、複利の計算方法、資産運用で最大限に複利効果を活かす方法について解説します。
1. 複利とは?単利との違いを理解しよう
複利と単利はどちらも利息の計算方法ですが、その仕組みや効果には大きな違いがあります。
まずは、複利と単利をそれぞれ理解し、具体的な数値を用いて2つの違いを確認していきましょう。
1-1. 複利とは?
複利とは、運用によって得られた利益を元本に組み入れ、その元本に対して再び利息を計算する仕組みです。つまり、「利息に利息がつく」計算のため、時間が経つにつれて指数関数的に資産もしくは負債が増加していきます。
1-2. 単利とは?
一方、単利とは、元本だけに利息がつく仕組みです。元本が変わらない限り、毎年同じ額の利息が発生します。そのため、複利のように指数関数的に増加するといったことはありません。
1-3. 100万円を30年間運用した場合の複利と単利の違い
それではここで、具体的な数字を用いて複利と単利の違いを比べてみましょう。
• 複利運用の場合
100万円を年利5%の複利で運用した場合、30年後には約432万円になります。もらった利息を元本に加えて、それが再び利息を生むため、元本が雪だるま式に増加していきます。
• 単利運用の場合
同じ条件で単利運用した場合、30年後には約250万円になります。毎年の利息は一定であり、複利に比べて増加ペースが緩やかです。
このように、同じ利率で運用していても、複利で長期間運用することで、単利と比べて大きな差が生じます。
2. 複利と単利の計算方法
それでは、複利と単利の計算方法について詳しく見ていきましょう。
2-1. 単利の計算式
単利の計算は比較的シンプルです。単利の場合、元本に対して一定の利率がかけられ、その利息が毎年加わります。単利の計算式は次のようになります。
単利計算式:元本 × 利率 × 期間 = 利息
例として、100万円を5%の年利で運用する場合、10年間で得られる利息は次のように計算されます。
100万円 × 5% × 10年 = 50万円
したがって、10年後の資産額は、元本の100万円に50万円を加えた150万円となります。
2-2. 複利の計算式
複利の計算は、元本と利息の両方に利息がつくため、やや複雑です。複利の計算式は次のようになります。
複利計算式:元本 × (1 + 利率)^期間 = 将来の資産額
例として、100万円を5%の年利で10年間運用する場合、次のように計算されます。
100万円 × (1 + 0.05)^10 = 162.89万円
したがって、複利運用では10年後に162.89万円となり、単利の150万円と比べて12.89万円多くなります。
なお先述の通り、30年の運用ではもっと大きな差が生まれます。単利と複利の差は、期間が長いほど大きくなることが分かりますね。
2-3. iPhoneの計算機アプリで複利を計算する方法
複利や単利の計算は、スマホや計算アプリを使って簡単に行うことができます。ここでは、iPhoneの計算機アプリを用いた具体的な計算手順を説明します。
1. まず、左下にある電卓マークを押し、「科学計算」を選択します。
2. 元本を入力します(例: 1,000,000)。
3. 「×」ボタンを押して、「1 + 利率」を入力します(例: 1.05)。
4. 「=」を押してから、「Xy」を押し、「期間の指数」を入力します(例: 10)。
5. 再度「=」を押すと、最終的な資産額が表示されます。
3. 投資における複利効果とは
複利効果は投資や資産運用において、非常に大きな効果をもたらします。
ここでは、複利が投資でどのように働くのか、また長期投資や積立投資において、なぜ複利の効果が大切なのかを説明します。
3-1. なぜ投資で複利の効果が働くのか
投資では、運用によって得られた利益を再投資することで、複利の効果が働きます。再投資された利益は新たな元本となり、その元本に対してさらに利益が生まれるため、資産は時間とともに増加していきます。
例えば、株式投資や投資信託では、分配金や配当金を再投資することで、複利の効果が期待できます。また、債券投資では、利息を再投資することによって元本が増加し、さらに利息が増えるという仕組みです。
長期投資では、複利効果が特に顕著に現れます。時間が長ければ長いほど、元本に対する利息が増え、その利息に対してさらに利息がつくため、資産は指数関数的に増加します
3-2. 長期投資の重要性「72の法則」とは
ここで複利効果を学ぶ上で欠かせない「72の法則」をご紹介します。
「72の法則」とは、資産が倍増する期間を、簡単に計算できる法則です。この法則は、72を年利で割ることにより、おおよその期間を求めることができます。「72の法則」は、複利の力を実感するために非常に便利です。
例えば、年利6%で運用する場合、72 ÷ 6 = 12年となります。つまり、12年後には資産が倍になるということです。これが複利の力であり、長期にわたって投資を続けることで、最初の元本が2倍、3倍、さらにはそれ以上に増加する可能性が高まります。
長期投資の重要性は、このような「時間の力」にあります。複利の効果は、短期間ではそれほど大きな差を生まないかもしれませんが、数十年にわたる投資では劇的な違いを生み出します。そのため、若いうちから投資を始め、時間を味方につけることが重要です。
4. 複利を活かすための投資戦略
ここまで、投資における複利効果が重要であることをお伝えしてきました。ここからは、実際に複利運用で投資を成功させるために、押さえておきたい重要なポイントを説明します。
4-1. 複利効果を最大限に引き出すための時間戦略「早く始めて長く続ける」
複利運用において最も重要なのは「時間」です。複利では、元本と利息が繰り返し積み重なって資産が増加するため、運用期間が長ければ長いほど効果は大きくなります。
したがって、投資を始めるタイミングが早ければ早いほど、複利の恩恵を享受できる期間が長くなるため、資産の増加ペースが速くなります。
また、長期的に安定した投資を続けることで、短期的な市場の変動に対する心理的な影響を受けにくくなります。市場は時折大きな変動を見せますが、長期間にわたる投資では、その変動は平均化され、最終的には資産が増加していく傾向にあります。
4-2. 目標額に応じた具体的な積立計画
複利運用を成功させるためには、明確な目標を持ち、それに応じて積立計画を立てることが大切です。
例えば、定年後の生活資金を目標とする場合や、子供の教育資金を準備する場合など、目標額と運用期間によって、適切な積立額や投資商品が変わってきます。
まずは、自分の目標額と達成したい時期を設定しましょう。その後、複利計算を用いて、毎月いくら積立てすれば目標を達成できるか計算します。目標が大きい場合や、早期に達成したい場合には、よりリスクを取ってリターンを高める投資商品を選ぶことも一つの手段です。
また、リスク許容度や投資期間に応じて、ポートフォリオを見直すことも重要です。自分のライフステージと資産額、達成したい目標を定期的に見直して、最適な戦略を立て直すことで、資産形成の成功が近づきます。
5. 複利効果を最大化するための投資信託選び
複利効果を最大限に活かすためには、どのような投資商品を選ぶかが重要です。
特に、投資信託は少額からの投資が可能で、複利効果を活かしやすい商品ですが、適切な選び方をしないと、複利効果を十分に引き出せないことがあります。
ここでは、複利効果を最大限に活かす投資信託の選び方を解説します。
5-1. 分配金なし
投資信託の中には、”定期的に分配金を支払う”タイプと、”分配金を再投資する”タイプがあります。複利効果を最大化するためには、後者の“分配金を再投資する”タイプの投資信託を選びましょう。
分配金を受け取ってしまうと、その都度税金が発生し、資産の一部が減少してしまいます。一方、分配金を受け取らずに、ファンド内で再投資すれば、元本が増加し、その元本に対してさらに利息がつくため、運用期間中は税金の支払いをすることなく、複利効果をフル活用できます。
5-2. 低コスト
投資信託を選ぶ際には、手数料や運用コストにも注意が必要です。手数料や信託報酬が高いと、その分リターンが減少してしまい、複利効果が弱まります。特に、長期間にわたって投資を行う場合は、僅かなコストの違いが、リターンに大きく影響します。そのため、リターンを最大化するためには、できるだけ低コストの商品を選ぶことが重要です。
近年では、インデックスファンドやETF(上場投資信託)など、手数料が低く抑えられた商品が増えています。これらは一定の株式指数に連動にて運用されるため、機関投資家の調査や判断が入らず、その分運用コストが低く抑えられる傾向にあります。
複利の効果を活かすために手数料の低いインデックスファンドを選びましょう。
6. まとめ
複利運用は、時間とともに資産が雪だるま式に増加する強力な手法です。単利とは違って、複利は「利息にも利息がつく」ため、長期間投資を続けることで大きなリターンを期待できます。
複利効果を最大化するためには、低コストかつ、分配金を再投資する投資信託やETFを対象に、ドルコスト平均法を用いて積立投資をしましょう。
そして、最も重要なのは、「時間」を味方につけることです。できるだけ若いうちから投資を始め、複利の力を最大限に引き出すことで、将来的に大きな資産を築くことが可能です。
それでは早速、今から証券会社に口座を作り、積立投資を始めましょう。そうすれば、豊かな未来への第一歩が開けますよ。